LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027への応募を考えている工芸作家・工房の方にとって、最初に確認したいのは「何をつくるか」だけではありません。応募資格、作品条件、写真、ポートフォリオ、英文説明など、制作とは別に準備すべき情報が複数あります。
LOEWE Craft Prize 2027の応募締切は、2026年10月15日23時59分(CET:中央ヨーロッパ時間)。応募情報は英語で入力し、作品写真2〜5枚、短い略歴、最大5作品のポートフォリオ、作品情報、本人確認書類、200語以内の英文コンセプト・技術説明(conceptual and technical statement)などを準備します。
重要なのは、必要項目を英訳して埋めれば終わりと考えないことです。作品写真、ポートフォリオ、英文説明は別々の提出物ですが、最終的には「この作家は何を考え、素材と技法をどのように扱い、なぜこの作品をつくったのか」という一つの像をつくります。
本記事では、2027年版のLOEWE FOUNDATION公式情報・FAQ・Rules of Entryをもとに、応募資格から写真規格、作品説明、提出直前の確認まで、実際に応募準備を進める順番に整理します。
(参照:LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
目次
LOEWE Craft Prize 2027とは?応募締切と基本条件
LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027は、18歳以上のプロフェッショナル・アルティザン(Professional Artisan)を対象とする国際的な現代工芸賞です。第10回となる2027年版の応募締切は、2026年10月15日23時59分(CET:中央ヨーロッパ時間)です。
LOEWE FOUNDATION Craft Prizeは2016年に創設され、2027年で第10回を迎えます。LOEWEが職人の工房として始まった歴史を背景に、現代のクラフトにおける卓越性、芸術性、革新性を顕彰することを目的としています。
対象として例示されている分野は、陶芸(とうげい)、製本、エナメル細工、宝飾、漆、金属、家具、レザー、テキスタイル、ガラス、紙、木工などです。公式にはApplied Arts(応用芸術)の領域として説明されており、単に「伝統工芸品であるか」ではなく、作品としての芸術的意図と、素材・技法を通じた表現が重視されています。
(参照:LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
応募料は無料です。応募は公式オンライン登録から行い、メールで直接送付した応募は受け付けられません。フォームへの入力情報は英語のみとなります。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
賞金・展示・審査スケジュール
大賞の賞金は50,000ユーロです。また、審査員団(Jury)の裁量によって特別賞(Special Mention)が選出された場合、対象作品にはそれぞれ5,000ユーロが授与されます。
審査は二段階で行われます。まず専門家パネル(Expert Panel)が応募作品を審査し、最終選考へ進む作品を選びます。公式2027ページでは30作品のshortlistと説明されていますが、Rules of Entryでは「最大30作品」と規定されているため、本記事では最大30作品として扱います。
その後、デザイン、建築、ジャーナリズム、批評、美術館キュレーションなどの領域から構成される15名の審査員団(Jury)が、ファイナリスト作品から大賞を選出します。2027年の審査員団には、2026年受賞者のジョンジン・パク(Jongjin Park)氏、日本民藝館館長を務めるデザイナーの深澤直人氏らが名を連ねています。
(参照:LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
編集長コメント
ここで注目したいのは、日本人の審査員がいること自体ではありません。
審査員団には作家、デザイナー、建築家、キュレーターなど異なる立場の専門家が参加しています。つまり、技法の難易度だけではなく、作品が現代の工芸として何を提示しているのかを複数の視点から見られる賞だと考える方が適切です。
ファイナリストへの連絡は、専門家パネルによる選考後の2027年1月に、応募フォームへ入力した電話番号またはメールアドレスを通じて行われる予定です。大賞は審査員団の審査後、公式FAQでは2027年5月に決定すると案内されています。公式トップページでは授賞式・展覧会を2027年春にヨーロッパで開催予定としており、具体的な会場は本記事執筆時点では公表されていません。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
誰が応募できる?応募資格を1つずつ確認する
応募できるのは、応募時点で18歳以上のプロフェッショナル・アルティザン(professional artisan)です。国籍は問われず、個人またはグループで応募できます。ただし、作品にも制作時期、一点物、受賞歴など複数の条件があります。
2027年版の公式情報では、応募者は18歳以上であること、工芸を専門的な活動として継続していることが求められています。国籍による制限はありません。
応募作品については、主に以下の条件が示されています。
- Applied Arts(応用芸術)の領域に属すること
- オリジナル作品であること
- 一点物であること
- 作品の全部または一部が手作業で制作されていること
- 過去5年以内に制作された作品であること
- 過去に賞を受賞していないこと
- 技術的な完成度だけでなく、芸術的意図が示されていること
- 伝統を現代に更新するという意味での革新性があること
「伝統を更新する」という条件は、伝統技法を否定した作品でなければならない、という意味ではありません。何を受け継ぎ、どこを変え、素材や工程を現在の表現へどう接続したのかを説明できることが重要です。
(参照:LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
また、作品制作の外注には注意が必要です。公式FAQでは、自分でデザインや構想を行っていても、実際の制作を第三者へ委託した場合は応募できず、応募者自身が作品の制作者(maker)でなければならないと説明されています。
分業や共同制作を取り入れている作家・工房の場合は、自身がどの工程を担ったのか、グループ応募(group submission)として扱うべきなのかを応募前に確認しておく必要があります。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
応募できるのは、一人または一グループにつき1作品、もしくは一つの芸術的創作として成立する1シリーズです。また、同じ作品を別の賞へ同時に応募することはできません。
「プロフェッショナル・アルティザン」とは何を指すか
プロフェッショナル・アルティザン(professional artisan)は、「工芸だけで生計を立てている人」という意味ではありません。
公式FAQでは、工芸を専門的な活動として行い、展覧会、ギャラリー、見本市、教育プログラムなどへ積極的に参加していることが目安とされています。工芸から得る収入だけで生活している必要はありません。
学生についても、18歳以上で、略歴から工芸を専門的に継続していることを示せれば応募可能です。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
工芸ジャポニカ編集部コメント
若手作家や副業で制作を続けている作家の場合、肩書きを大きく見せる必要はありません。
それよりも、どのような作品を継続して制作し、どこで発表し、どのような活動を積み重ねてきたのかを作家略歴(Biography)で正確に整理することが重要です。「プロかどうか」を自己評価するより、公式FAQが示す活動実態に照らして確認する方が判断しやすいでしょう。
何を準備すればよい?提出物と写真規格を実務チェックリストで確認する

LOEWE Craft Prize 2027では、作品写真だけではなく、作家略歴(Biography)、最大5作品のポートフォリオ(Portfolio)、作品情報、本人確認書類、200語以内の英文コンセプト・技術説明(conceptual and technical statement)などを準備します。
公式トップページでは写真と作品コンセプト文が簡潔に案内されていますが、実際の応募ではRules of Entryに記載された詳細項目まで確認する必要があります。
| 提出項目 | 主な内容 | 準備時のポイント |
|---|---|---|
| 応募者情報 | 氏名・グループ名、国・地域、生年月日・出生地、電話、メール、住所など | 本人確認書類と表記を合わせる |
| 作家略歴(Biography) | 短い作家略歴 | 展示・活動歴を事実ベースで整理する |
| ポートフォリオ(Portfolio) | キャリアを代表する最大5作品 | 応募作だけでなく作家活動の流れを見せる |
| 応募作品情報 | 作品名、寸法、素材、重量、カテゴリーなど | 単位と英語表記を統一する |
| 作品価値 | 保険目的の概算価値をユーロで入力 | 販売価格とは目的が異なる点に注意する |
| 本人確認書類 | パスポートまたは公的身分証明書(official ID) | 有効な書類を用意する |
| 作品説明 | 英文コンセプト・技術説明(conceptual and technical statement) | 200語以内で整理する |
| 作品写真 | 2〜5枚 | 異なる視点から撮影する |
| 動画 | 任意 | 最大1分 |
作品写真は2〜5枚です。公式のRules of Entryでは異なる視点から撮影し、そのうち1枚のみ人物を作品の横に配置してスケールを示すよう求めています。また、背景は白無地(white neutral background)が指定されています。
画像ファイルについて公式FAQでは、JPGまたはPNG、800×600px以上、200dpi以上、1ファイル2MB以下と案内されています。動画を追加する場合は最大1分です。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
作品写真は「きれい」より「何が分かるか」で選ぶ
工芸作品の応募写真では、広告写真のような演出性より、作品の形、表面、素材、構造、スケールを正確に読み取れることが重要です。
5枚提出する場合は、全体像、斜めからの立体構造、素材や技法のディテール、裏面・内部などの構造、人物を用いたスケール写真というように、それぞれ異なる役割を持たせると整理しやすくなります。
応募フォームは一度に完成させる必要はありません。公式FAQによると入力内容は自動保存され、提出(Submit)前であれば修正できます。ただし、一度提出した後は内容を変更できません。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
2027年版Rules of Entryを確認するときの注意
2026年9月16日時点で、公式2027ページ内「How to participate」にある「Rules of Entry 2027」からは2027年版の応募規約を確認できます。一方、公式サイト最下部の一般的な「Rules of Entry」リンクでは、2026版PDFへ移動する状態が確認されています。応募前はフッターだけを頼りにせず、2027ページ内の「Rules of Entry 2027」から最新版を確認してください。
提出前チェックリスト
- 応募者が18歳以上でプロフェッショナル・アルティザンの条件を満たしているか
- 作品が過去5年以内に制作されているか
- 一点物で、過去に受賞していないか
- 同じ作品を別の賞へ同時応募していないか
- 応募者自身が制作した作品であることを確認したか
- 作家略歴(Biography)を整理したか
- ポートフォリオを最大5作品に整理したか
- 作品名・寸法・素材・重量・カテゴリーを確認したか
- 保険用の概算価値をユーロで入力できる状態にしたか
- パスポートまたは公的身分証明書を用意したか
- 英文コンセプト・技術説明を200語以内にまとめたか
- 作品写真を2〜5枚用意したか
- 写真のうち1枚は人物を用いてスケールを示す写真になっているか
- 写真背景は白無地になっているか
- JPGまたはPNG、800×600px以上、200dpi以上、2MB以下を確認したか
- 動画を付ける場合は1分以内か
- 応募情報を英語で統一したか
- 提出前に最新のRules of Entry 2027を確認したか
英文コンセプト文で伝えるべきこと
200語以内の英文説明では、工程を羅列するのではなく、「作品の意図」「素材と技法」「それらを選んだ理由」を一続きで伝えることが重要です。
2027年版のRules of Entryでは、作品について英文コンセプト・技術説明(conceptual and technical statement)を200語以内で提出することが求められています。
最初から英語を書こうとするより、まず日本語で次の3点を整理すると文章を組み立てやすくなります。
- この作品は何についての作品なのか
- なぜ、この素材と工程でなければならなかったのか
- 既存の技法・用途・伝統を、どのように再解釈しているのか
日本の工芸作品を英語へ翻訳するとき、「traditional Japanese craftsmanship」「harmony with nature」「tradition and innovation」といった便利な言葉に寄りかかると、作品固有の情報が薄くなりやすくなります。
たとえば漆(うるし)の作品であれば、「伝統的な漆技法を使っている」と書くだけでなく、塗膜の層、研磨、削り、乾燥、経年変化といった素材固有の性質が作品の構造や意味へどのように関わっているのかまで説明できます。
陶芸であれば、釉薬(ゆうやく)の名称や焼成(しょうせい)温度を並べるだけではなく、土の収縮、炎、釉薬の流れ、偶発性と制御の関係が、最終的な形へどう結びついているのかを考えます。
編集長コメント
国際公募で作品を言葉にする作業は、英訳そのものより、その前に行う「編集」が重要です。制作している本人には当たり前になっている素材の選択や工程の判断を、一度作品の外側から見直す必要があります。
難しい英語を使うことよりも、「なぜこの素材なのか」「なぜこの方法なのか」を具体的に言葉にする方が、作品の輪郭は明確になります。
蒔絵(まきえ)、乾漆(かんしつ)、象嵌(ぞうがん)、焼締(やきしめ)など、日本独自の技法名は無理に一般的な英単語一語へ置き換える必要はありません。作家、工房、産地団体、美術館などが使用している既存の英語表記を確認したうえで、必要に応じてローマ字表記と短い説明を組み合わせる方法があります。
英語へ置き換えることそのものを目的にせず、意味を失わず、初めて作品を見る人にも理解できることを優先します。
応募すべきか迷ったら?よくある誤解とその補足【FAQ】
応募前に迷いやすい点を、2027年版の公式FAQに基づいて整理します。
- Q1. 応募締切はいつですか。
- 2026年10月15日23時59分(CET)です。応募受付は2026年7月8日から開始されています。
(参照:LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q2. 参加費はかかりますか。
- かかりません。公式FAQで登録料(registration fee)はないと明記されています。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q3. 何作品まで応募できますか。
- 個人またはグループにつき、1作品または一つの芸術的創作として成立する1シリーズです。
- Q4. 過去に他の賞へ応募して落選した作品でも応募できますか。
- 応募できます。ただし過去に賞を受賞していないこと、過去のLOEWE FOUNDATION Craft Prizeでファイナリストとなった作品ではないことなど、その他の条件を満たす必要があります。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q5. 制作の一部を外部に依頼した場合は応募できますか。
- 公式FAQでは、自分でデザインや構想を行っていても、制作を第三者へ委託した作品は応募できず、応募者自身が制作者(maker)である必要があると説明されています。共同制作の場合はグループ応募(group submission)の条件も確認してください。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q6. 学生でも応募できますか。
- 18歳以上で、展覧会、ギャラリー、見本市、教育プログラムなどへの参加を通じて、工芸を専門的な活動として継続していることを作家略歴で示せる場合は応募可能です。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q7. 応募情報は日本語で提出できますか。
- できません。オンライン登録フォームの情報は英語で提出する必要があります。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q8. 一度提出した後に修正できますか。
- できません。入力途中は自動保存され、提出前であれば変更できますが、提出後の修正はできません。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q9. 過去に展示した作品でも応募できますか。
- 展示済みであることだけを理由に応募対象外にはなりません。過去の受賞歴、制作時期、所有条件など、その他の応募要件を満たしているかを確認してください。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION) - Q10. 同じ作品を別のコンペにも同時に応募できますか。
- できません。公式FAQでは、同一作品を別の賞へ同時に応募することは認められていません。
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
LOEWE Craft Prize 2027 応募条件を一覧で比較する【比較表】
応募条件は、資格・作品・提出物・写真・言語の5つに分けて確認すると抜け漏れを防ぎやすくなります。
| 項目 | 2027年版の主な内容 |
|---|---|
| 応募期間 | 2026年7月8日〜10月15日23時59分(CET) |
| 参加費 | 無料 |
| 応募資格 | 18歳以上のプロフェッショナル・アルティザン。国籍不問、個人またはグループ |
| 作品条件 | Applied Arts、オリジナル、一点物、全部または一部が手作業、過去5年以内、過去の受賞歴なし、芸術的意図を示す作品 |
| 応募点数 | 一人または一グループにつき1作品、または一つの作品として成立する1シリーズ |
| 作家略歴 | 短い作家略歴 |
| ポートフォリオ | キャリアを代表する最大5作品 |
| 作品情報 | 作品名、寸法、素材、重量、カテゴリー、ユーロ建ての保険用概算価値など |
| 本人確認 | パスポートまたは公的身分証明書 |
| 英文作品説明 | 英文コンセプト・技術説明、200語以内 |
| 写真 | 2〜5枚。JPG/PNG、800×600px以上、200dpi以上、2MB以下。白無地の背景、人物を用いてスケールを示す写真を1枚含める |
| 動画 | 任意、最大1分 |
| 提出言語 | 英語 |
| ファイナリスト選出 | 専門家パネルが最大30作品を選出。2027年1月に対象者へ連絡予定 |
| 大賞決定 | 15名の審査員団が選考。公式FAQでは2027年5月に決定予定 |
| 賞金 | 大賞50,000ユーロ。特別賞が授与された場合は各5,000ユーロ |
| 展示・カタログ | 大賞作品およびファイナリスト作品を2027年春のヨーロッパでの展覧会・公式カタログに掲載予定 |
(参照:LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
応募後、作家として次にすべきことは?
今回準備する英文の作家略歴、ポートフォリオ、作品写真、作品説明は、LOEWE Craft Prizeだけで終わらせず、今後の海外公募やギャラリーへの提案に使える作家資料として残しておくことをおすすめします。
国際公募のたびに、作品寸法を測り直し、過去作を探し、英語タイトルを決め、作家略歴を書き直すのは大きな負担です。
新しい作品が完成した段階で、作品名、制作年、素材、技法、寸法、重量、作品写真、日本語の短い説明、英語表記まで一組にして保存しておけば、次の公募への対応速度は大きく変わります。
今回選んだ最大5作品のポートフォリオについても、単純に新しい作品を5点並べるのではなく、制作テーマ、素材との関係、技法の変化、スケール、作家として継続している問いが読み取れるかを確認してみてください。
ポートフォリオは作品一覧ではありません。「何をつくってきたか」と同時に、「この作家は何を考え続けてきたのか」を伝える資料です。
編集長コメント
LOEWE Craft Prizeへの応募で整理した資料の価値は、結果が出た瞬間に消えるものではありません。むしろ国際公募を一つの締切として使い、自分の作品情報を日本語・英語の両方でアーカイブすることに長期的な価値があります。
国際発信は「海外向けに作品を飾り直すこと」ではなく、普段の制作の中にある判断を、異なる文化背景の人にも伝わる形へ編集することだと考えています。
工芸ジャポニカでは、工芸作家・工房のプロフィールや制作背景を国内外へ伝える記事を継続的に発信しています。LOEWE Craft Prizeの過去の受賞結果や、国際的な現代工芸の評価軸を確認したい方は、2026年版の分析記事もあわせてご覧ください。
まとめ
LOEWE Craft Prize 2027の応募締切は2026年10月15日23時59分(CET)です。応募する場合は、作品そのものだけでなく、写真2〜5枚、作家略歴、最大5作品のポートフォリオ、作品情報、本人確認書類、200語以内の英文コンセプト・技術説明まで早めに準備しておく必要があります。
特に注意したいのは、過去5年以内の一点物であること、過去に受賞していないこと、応募者自身が制作者であること、同じ作品を他の賞へ同時応募できないこと、提出後には修正できないことです。
そして工芸ジャポニカが、この応募で最も大切だと考えるのは「海外向けらしい言葉」をつくることではありません。
どの素材を選んだのか。なぜその工程が必要だったのか。どこを受け継ぎ、何を変えたのか。その判断を一つずつ言葉にしていくことです。
技法そのものの高度さだけではなく、素材、工程、造形、意図が一つの作品としてどう結びついているかを整理できれば、今回作成した応募資料は次の展覧会や国際公募、ギャラリーとの対話にも残ります。
応募を検討している方は、まず候補作品を1作品または1シリーズに絞り、「作品写真」「作家略歴」「ポートフォリオ」「200語のコンセプト文」の4項目を分けて準備するところから始めてみてください。
応募前には、必ずLOEWE FOUNDATION公式ページから最新のRules of Entry 2027とFAQを再確認してください。
(参照:LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)
(参照:FAQs – LOEWE Craft Prize 2027|LOEWE FOUNDATION)


