伝統工芸の魅力をより深く知ってもらうために、作り手やブランド、産地組合などが自ら運営する「オウンドメディア」が増えています。公式だからこそ伝えられるストーリーや職人の声、制作過程の詳細、製品へのこだわりなどを発信し、ファンとの関係を築く大切なツールになっています。

この記事では、伝統工芸に特化したオウンドメディアを一覧で紹介し、それぞれの特徴や注目ポイントをわかりやすくまとめました。情報収集やブランド理解、販路開拓のヒントとして、ぜひお役立てください。

*掲載データは、2025年7月28日時点のものになります。
(都度更新予定)

伝統工芸メディア一覧 20選(最新版)

全国の伝統工芸品、職人の技や産地の文化を多角的に紹介する公式・専門メディアを厳選しました。販路開拓やトレンド把握、仕入れ検討などに役立つ情報源としてご活用ください。

1. Kogei Japonica 工芸ジャポニカ


Kogei Japonica(工芸ジャポニカ)は、日本の伝統工芸に関する情報を国内外へ発信するメディアです。工芸作家のインタビュー、制作現場の取材、展覧会やイベントのレポート、地域ごとの工芸文化の紹介、用語集など、多様な視点から工芸の魅力と背景に迫ります。
記事は日本語と英語で展開され、国内の読者はもちろん、海外の工芸愛好家、研究者、バイヤーにとっても有益な情報源となることを目指しています。
伝統と革新が交錯する日本工芸の“いま”を、多角的かつ継続的に伝えることで、その価値と可能性を広く社会と共有していきます。

2. 伝統工芸 青山スクエア


全国243品目の伝統的工芸品を展示・販売する東京・青山の公式ショールームを母体としたメディアサイト。作り手のインタビューや製作実演情報も発信し、リアル店舗と連動した販促・産地連携の参考にも最適です。
YouTube動画のクオリティが非常に高く、作り手の魅力を引き出した映像美は圧巻です。
(チャンネル登録者数 16.3万人)

3. KOGEI STANDARD

出典:KOGEI-STANDARD
「海を越え、工芸に新たな道を」をコンセプトに、日本工芸を世界に発信するバイリンガル(日・英対応)オンラインメディア。
陶磁器、漆器、ガラス、木工、金工などの現代工芸の「今」を、美しい写真とともに伝えています。独自の編集チームが全国の工芸産地を訪問し、作り手のストーリーや「侘び寂び」「用の美」といった日本の美意識を踏まえた深い内容を発信。展示会情報や職人インタビューなど、国内外の工芸愛好家に向けた良質なプラットフォームです。

4. ontowa(おんとわ)

出典:ontowa
「工芸と心地よい暮らしを探す」をテーマに運営される日本工芸の専門メディア。
鎌倉を拠点とする同社が、日本に古くから根ざす考え方や歴史、文化の側面から工芸を読み解き、工芸ファンに向けた良質なコンテンツを提供。有料記事の自由課金システムやAI音声読み上げ、ライブ配信サービスなど、新しいメディア体験を通じて工芸の魅力を伝えています。

5. Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)

出典:Discover Japan
「ニッポンの魅力再発見」をテーマに、伝統工芸から食、旅、デザインまでを深掘りする総合メディア。
職人インタビューや産地特集、プロダクトレビューなど、ストーリーブランディングを学ぶ情報源としても有効です。

6. 「日経クロストレンド」の伝統工芸特集

出典:日経クロストレンド
日経クロストレンドの「キーワード:伝統工芸」や「伝統工芸×テクノロジー」特集は、コロナ禍を経て加速する伝統工芸のデジタル化・DXに焦点を当て、サブスクリプションサービスやライブ配信を活用した新しい販売手法、3Dプリンターなどの最新技術との融合など、伝統工芸の現代的な取り組みを詳しく紹介しています。
最新情報からマーケティング視点での参考になる質の高い記事が豊富に揃っています。

7. KAERU(カエル)

出典:KAERU(カエル)
KAERUは伝統工芸の“敷居の高さ”を払拭し、ポップなデザインと分かりやすいコラムで現代の生活に寄り添う視点から工芸の魅力を発信するメディアです。
記事では職人インタビューや産地レポート、ビジネス視点でのマーケティング事例を楽しみながら学べます。
エンターテインメント性を重視しつつ事業者にも役立つ実践的な情報を豊富に掲載しています。

8. 美術手帖(Bijutsu Techo)

出典:美術手帖
美術手帖は1958年創刊の老舗アートジャーナルが運営するオンライン・ポータルサイトで、日本国内外の現代アートから伝統工芸まで幅広いトピックを網羅しています。展覧会レビューや作家インタビュー、専門家コラムを通じて最新の美術シーンを深掘りし、文化的潮流や市場動向を読み解く記事が充実。
アート愛好家からプロフェッショナルまで、幅広い層に支持される総合情報源です。

9. KURAFT(クラフト)

出典:KURAFT
KURAFTは「蔵=KURA」と「CRAFT(匠の技)」を掛け合わせ、日本各地の“眠れるたからもの”を発掘・発信するウェブメディアです。地方の工芸・文化・旅・食など幅広いジャンルを特集し、国内外の読者に向けて深掘り記事を展開。行政や地方自治体との連携企画も手掛け、地域ブランドのブランディングや復興支援プラットフォームとしても機能しています。

10. ワゴコロ

出典:ワゴコロ
ワゴコロは、日本の伝統文化や伝統工芸品の魅力を発信するWebメディアです。
2018年10月のリリースから月間100万PVを突破し、伝統工芸品から伝統芸能、和楽器、日本の行事まで幅広い分野を扱っています。
職人インタビューや制作体験記事も豊富で、日本の伝統文化を後世に残すための実践的な情報発信を行っています。

11.BECOS Journal

出典:BECOS Journal
BECOS Journalは、日本全国の知られざる逸品を発掘・紹介するECプラットフォームBECOSが運営するオウンドメディアです。歴史を継承しつつ新たなものづくりに挑む伝統工芸士の想いや技法、開発秘話を写真や動画を交えて分かりやすく伝えています。ギフトシーンのおすすめ品紹介や業界最新ニュースも網羅し、工芸愛好家から事業者まで幅広く役立つ情報源です。

12.中川政七商店の読みもの

出典:中川政七商店の読みもの
「中川政七商店の読みもの」は、老舗ブランド中川政七商店が運営する公式ウェブメディアで、日本の工芸や暮らしにまつわるストーリーを発信しています。
職人へのインタビュー、産地の紹介、暮らしに役立つ道具の使い方や季節のコラムなど、多彩な切り口で“日本の工芸が教えてくれる暮らしかた・生きかた”を掘り下げています。商品開発や店舗活動とも連動し、読み物としての網羅性と実用性を兼ね備えた情報発信が特徴です。
伝統工芸や丁寧な暮らしに関心のある読者に向けて、知的好奇心を満たすコンテンツを継続的に提供しています。

13. JAPAN HOUSE(ジャパン・ハウス)


Japan House Los Angelesが運営する文化発信メディアセクション。
日本の伝統工芸から現代アートまで幅広いトピックを英語で発信し、職人インタビューや技法解説、文化的背景を詳しく紹介しています。
「Heritage by Hand」など工芸関連の特集記事が充実しており、海外プロモーションや現地向けPRの参考資料として活用できます。

14. CRAFT LETTER

出典:CRAFT LETTER
CRAFT LETTERは、日本各地の伝統工芸産地や職人とのプライベート訪問マッチングプラットフォームとして始まり、職人インタビューや産地レポートを毎月配信するオンラインメディアです。
2024年にプラットフォーム機能を強化し、産地還元率を明示したEC決済も導入。工芸ファンとステークホルダーを透明性の高い経済循環でつなぎ、持続可能な産業発展を後押ししています。

15. 和綴 watoji

出典:和綴 watoji
watojiは、日本文化・工芸に関する最新のWeb情報を国内外のファン向けに集約するアグリゲーションサイト/アプリです。
漆、やきもの、染織、ガラスなど12の工芸チャンネルや、社会課題・体験イベント情報を日々更新。ユーザーの興味に最適化された展覧会・イベント表示や限定情報を提供し、国内外の日本文化ファン同士・関係者との接点を創出します。

16. ニッポン手仕事図鑑


ニッポン手仕事図鑑は、日本が誇る文化や職人技を職人インタビューとともに紹介する動画メディアです。
全国100産地近くの工芸・手仕事の映像を90本以上制作し、職人の技術や想いを深く伝えています。動画配信だけでなく、伝統工芸の後継者育成インターンシップや商品開発支援など、多角的に日本の手仕事を未来に繋ぐ活動を展開しています。

17. わのっと|暮らしを彩る伝統工芸品

出典:わのっと
「わのっと|暮らしを彩る伝統工芸品」は、日本各地の伝統工芸品や職人の技、地域の文化を紹介するウェブメディアです。
塩沢紬や大谷焼などの工芸品の魅力を歴史・素材・使い方の視点から丁寧に解説し、暮らしに活かす提案を発信。エシカル消費や丁寧な暮らしに関心のある読者に向け、伝統工芸の価値と魅力をわかりやすく届けています。

まとめ

伝統工芸メディアを活用することは、単なる情報収集を超えて、ブランドストーリーづくりや販売戦略、顧客とのコミュニケーション設計において大きな武器となります。
今回ご紹介した20のメディアは、職人の声や製作背景、地域ブランドの取り組み、海外への発信方法まで多彩な情報を提供してくれます。

それぞれのメディアの特徴を理解し、自社の商品開発や販路開拓、プロモーション企画にどう活かすかを常に考える視点が必要です。
ぜひこれらのリソースを最大限に活用し、伝統工芸の新たな価値を社会に届ける仕組みを構築していきましょう。

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日本の伝統工芸の魅力を世界に発信する専門家集団です。人間国宝や著名作家の作品、伝統技術の継承、最新の工芸トレンドまで、幅広い視点で日本の工芸文化を探求しています。「Kogei Japonica 工芸ジャポニカ」を通じて、伝統と革新が融合する新しい工芸の世界をご紹介し、日本の伝統文化の未来を世界とつなぐ架け橋として活動を行っています。

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