双六(すごろく)は、親子で楽しめる伝統的なボードゲームの一つです。サイコロを振ってコマを進めるシンプルなルールで、小さな子どもから大人まで一緒に遊ぶことができます。運だけでなく、戦略やコミュニケーションも大切になるため、家族の交流を深めるのにぴったりの遊びです。
この記事では、双六の歴史や種類、基本的な遊び方に加え、親子で作れる手作りアイデアまで詳しく解説します。

双六(すごろく)とは?歴史と魅力を紹介

双六(すごろく)は、日本に古くから伝わるボードゲームで、サイコロを振ってコマを進めるシンプルな遊びです。戦略性と運の要素が組み合わさり、子どもから大人まで幅広く楽しめます。

双六には「盤双六(ばんすごろく)」と「絵双六(えすごろく)」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
その歴史は非常に古く、日本だけでなく世界各地で似たような遊びが発展してきました。ここでは、双六の歴史と発展について詳しく見ていきましょう。

盤双六(ばんすごろく)

盤双六は白と黒の駒を多数動かして陣地を取る遊びで、私たちが現在双六(すごろく)で想像するものとは全く違います。
白黒の二手に分かれ、盤上の15個の駒を2つの賽(さい)の目の数だけ進め、自陣から相手方に早く送り込んだものを勝ちとする遊びです。
盤双六は貴族の遊びとして5~6世紀ごろから流行したものの、江戸時代には廃れました。
現在盤双六は、わずかに雛(ひな)道具の中に姿を留めるほかは、インドから欧州にもたらされて発展した、バックギャモンという同一起源のゲームに見ることができる程度です。

絵双六(えすごろく)

絵双六は江戸時代初期にあらわれた「仏法すごろく」がその始まりとされ、僧侶がこまを進めながら仏教の教義を後進に解かりやすく教えたものと言われています。
1枚の紙に絵が描かれ、いくつか区切られたマスのうち、「振り出しふりだし」(スタート)から「上りあがり」(ゴール)を目指して遊びます。「絵双六」の形式には、大きく「廻り双六(まわりすごろく)」と「飛び双六(とびすごろく)」の二つがあり、それぞれコマの進め方が異なります。
明治時代に入ると、絵双六は機械刷りによって日本全国に広まり、少年少女雑誌や婦人誌の付録として人気を博します。

双六(すごろく)の歴史と発展

双六の起源は古代エジプトやローマ帝国時代にまでさかのぼるとされています。​それらがシルクロード経由で中国へ、そして天平時代(8世紀頃)には日本の貴族社会に伝わりました。​最初に広まったのは「盤双六」で、貴族の遊びとして親しまれていました。​しかし、賭博性が強かったため、古くから禁止令も度々出され、江戸時代には廃れていきました。 ​


江戸時代初期に「仏法すごろく」が登場し、これが絵双六の始まりとされています。​これは、僧侶がこまを進めながら仏教の教義を後進に解かりやすく教えるものでした。​やがて庶民文化の開花とともに「道中双六」や「名所双六」などの絵双六が製作されるようになり、婦人や子どもの正月遊びとして定着していきました。 ​

明治時代以降、印刷技術の発展により、双六はさらに多様化し、児童雑誌の付録として提供されることも増えました。​戦後、遊びの多様化や社会の変化から双六は衰退したと言われています。​しかし、今日のボードゲームやテレビゲームの中にサイコロ(あるいは代用品としてルーレット)を用いてゲームを進行させる作品が多く存在しており、これらを双六の進化・発展した姿であると考えることもできます。

双六(すごろく)の遊び方とルール

双六はシンプルなルールで遊べるため、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめるゲームです。しかし、遊ぶ年齢や人数によって最適なルールやアレンジが異なります。

ここでは、基本的なルールや必要な準備に加え、年齢別のおすすめの遊び方や、家族や友達とより盛り上がるためのアレンジルールを紹介します。

基本的なルールと準備するもの

双六を遊ぶためには、以下のものを準備します。​

  • 双六の盤面(市販のものや手作りのもの)
  • サイコロ(絵双六では1個、盤双六では2個)
  • 駒(絵双六ではプレイヤーごとに1つ、盤双六では各プレイヤー15個)

基本的なルールは、プレイヤーが順番にサイコロを振り、出た目の数だけ自分の駒を進めていき、最初にゴールした人が勝者となるというものです。​絵双六の場合、マス目に書かれた指示に従う必要があり、「〇マス戻る」「もう一度振る」などのアクションがゲームの展開を盛り上げることができます。​

一方、盤双六では、サイコロの出目に応じて自分の駒を進め、相手の駒を捕獲するなどの戦略的な要素が含まれます。

年齢別おすすめの遊び方

双六は、年齢に合わせてルールや遊び方を工夫することで、より楽しく学びのあるゲームになります。それぞれの年齢層に適した遊び方を紹介します。

幼児向け(3〜6歳)

幼児が楽しめるように、シンプルなルールと短時間で遊べるゲームを選ぶことが大切です。

  • サイコロを1つだけ使う
  • 絵双六を活用する
  • 短時間で終わるゲームを選ぶ

幼児向けの場合は、サイコロを1つだけ使用することで、数を数える練習になり、小さな子どもでも理解しやすくなります。特にイラストが描かれた双六を使うと、視覚的に楽しめるため、親子でコミュニケーションをとりながら遊べます。

また、幼児の集中力に合わせ、10〜15分程度で終わるゲームを選ぶと、飽きずに楽しめるでしょう。

小学生向け(7〜12歳)

この年齢では、算数の学習要素を取り入れたり、知識を深めるゲームを選ぶことで、楽しみながら学ぶことができます。

  • 2つのサイコロを使う
  • 学習双六やクイズ双六を活用する
  • ストーリー性のある双六を選ぶ

サイコロを2つ使用し、足し算や掛け算をしながら進むことで、計算力を養うことができます。さらに歴史や地理、英単語などをテーマにした双六を使うと、遊びながら学べるため、教育効果が高まります。

また、物語風の双六を取り入れると、子どもがゲームに夢中になり、想像力を働かせながら楽しむこともできるでしょう。

このように双六は、シンプルな遊びながらも、年齢に応じた工夫を加えることで、学習や戦略性、コミュニケーションを深める要素を持つゲームになります。家族や友人と一緒に、年齢に合わせたルールで楽しんでみましょう。

家族や友達と盛り上がるおすすめアレンジルール3選

双六をより盛り上げるために、ルールをアレンジするのもおすすめです。​

ポイント制ルール

ゴールするだけでなく、途中のマスにポイントを設定し、最終的な得点で競う。例えば、特定のマスに止まると追加ポイントが得られるルールを設けると、戦略性が増します。​

ミッション付き双六

マスに「腕立て伏せを5回」「好きな食べ物を言う」などのミッションを追加し、パーティーゲームとして楽しむ。これにより、ゲームに動きや会話が生まれ、盛り上がりが増します。​

逆走ルール

途中で特定のマスに止まると、逆走しなければならないハンデを加える。これにより、ゲームの展開が予測不能になり、スリルが増します。​

このように、少しルールを変えるだけで双六の遊び方は無限に広がります。家族や友達と一緒に、オリジナルのルールを考えてみるのも面白いでしょう。

双六を楽しむためのコツ

双六は、シンプルなルールでありながら、遊び方を工夫することでより楽しく、奥深いゲームになります。特に、子どもと一緒に遊ぶ際のポイントや、教育的な要素を取り入れる方法、大人向けの楽しみ方を知っておくと、さらに充実した時間を過ごせます。

ここでは、双六をより楽しむためのコツとして、子どもと遊ぶときの工夫、学びを深めるポイント、大人向けのアレンジ方法を紹介します。

子どもと遊ぶときの工夫

子どもと双六で遊ぶ際には、飽きずに楽しめるように、ルールや演出を工夫することが大切です。シンプルなルールにしたり、物語性を加えたりすることで、より夢中になれるゲームになります。

サイコロを1つだけ使う

サイコロの数を1つにすることで、出た目の数だけ駒を進める簡単なルールになります。数を数える練習にもなり、幼児でも遊びやすくなります。

複雑な指示を減らす

途中のマスで「〇マス戻る」「もう一度振る」といった指示を入れる場合も、あまり複雑にならないようにすると、直感的に遊べます。

絵双六を活用する

キャラクターを設定し、「冒険」や「おつかい」といったテーマを取り入れることで、双六をただのすごろくゲームではなく、物語として楽しむことができます。

子どもの好きなテーマを取り入れる

動物・おとぎ話・宇宙など、子どもが興味を持ちやすいテーマを使って、オリジナルの双六を手作りすると、より楽しめます。

ゴールしたら小さなご褒美を用意する

ゲームを最後まで楽しめるように、シールやおやつなど、小さなご褒美を用意すると、子どもが積極的に遊びたくなります。

途中のマスにチャレンジ要素を入れる

「○○ができたらポイント!」というように、簡単なクイズやチャレンジを加えることで、飽きずに楽しむことができます。

双六は、ルールをシンプルにしながら、子どもがワクワクできる要素を加えることで、より楽しめるゲームになります。親子で協力しながら作ったオリジナルの双六を使えば、さらに思い出に残る遊びとなるでしょう。

教育的効果を高めるポイント

双六は、遊びながら子どものさまざまな能力を育むことができる教育的なゲームです。以下に、その具体的な効果と工夫のポイントを解説します。​

数や計算の力を伸ばす

双六では、サイコロを振って出た目の数だけコマを進めるため、子どもたちは自然と数に親しむことができます。 ​さらに、サイコロの出た目を足し算・引き算しながら進むルールを取り入れることで、計算力を養うことができます。​例えば、2個のサイコロを使い、出た目の合計を計算して進む、あるいは特定のマスに止まった際に簡単な計算問題を解くといった工夫が考えられます。​

語彙力や表現力を養う

双六のマス目に「3マス戻る」「1回休み」などの指示が書かれている場合、子どもが文字を読む機会が増え、語彙力の向上につながります。 ​また、マスごとにクイズやなぞなぞを用意し、答えられたら進めるルールを作ることで、言葉の理解や表現力を高めることができます。​さらに、物語風の双六を作り、途中で子どもに「次はどうなると思う?」と考えさせることで、想像力や表現力を育むことができます。​

ルールを守る・順番を待つ力を育てる

双六は複数人で遊ぶゲームであるため、順番を守る、ルールに従うといった社会性や協調性を育むことができます。 ​ゲームを通じて「順番を守る」「ルールに従う」といった社会性を学ぶことができます。​また、負けても楽しむ姿勢を育むために、「最後までやり遂げること」を重視することで、忍耐力や責任感を養うことができます。​

このように、双六を単なるゲームとしてだけでなく、学習の機会として活用することで、子どもの成長に役立てることができます。​家庭や教育現場で、双六を取り入れてみてはいかがでしょうか。

双六(すごろく)を通じて得られる効果とは?

双六は単なる遊びではなく、さまざまな知的・社会的なスキルを育む効果があります。サイコロを振って進むシンプルなルールの中にも、計画性や戦略性が求められたり、家族や友人とのコミュニケーションが生まれたりする要素が含まれています。

特に、子どもにとっては学習の一環として活用できる場面も多く、教育的な価値が高いゲームの一つです。ここでは、双六を通じて得られる具体的な効果について詳しく見ていきましょう。

論理的思考力や計画力の向上

双六は、サイコロの目の数だけ進めるだけでなく、どのルートを選ぶか、どのタイミングで勝負に出るかといった判断が求められる場面があります。遊びながら、子どもの「考える力」を伸ばせるのが魅力です。

先を見通す力がつく

双六では、次の一手を考えながら進めることで、「このマスに止まるとどうなるかな?」「先に進むにはどうすればいいかな?」と考える習慣がつきます。遊びながら自然と計画的に行動する力が育まれます。

考えて動く経験ができる

相手と競いながら進む双六では、「どこで勝負をしかけるか」「相手の動きを予測するにはどうすればいいか」と考えることが増えます。楽しく遊ぶうちに、戦略を立てる力も身についていきます。

選択肢の中からベストな判断をする練習になる

双六には、進む道を選べるタイプのものもあります。「どちらのルートを選ぶのが良いかな?」と考える経験を積むことで、判断力を鍛えることができます。

特に、ルールに戦略性を加えた「盤双六」のようなゲームでは、「どうすれば有利に進めるか」を考えながら遊ぶことが求められます。こうした経験は、学校の勉強や日常生活での「考えて行動する力」にもつながります。

親子のコミュニケーションを深める効果

​双六は、親子で一緒に楽しめる遊びの一つであり、会話を増やし、関係を深めるきっかけになります。​サイコロを振るたびに、ルールに沿って進めるだけでなく、さまざまなやりとりが生まれるのが特徴です。​

双六が親子のコミュニケーションに役立つ理由

  • ルールがシンプルなため、小さな子どもとも一緒に遊べる
  • 「次はどうなるかな?」と会話が弾むことで、親子のやりとりが増える
  • 励ましたり、褒めたりする場面が多いため、ポジティブな関係づくりにつながる

また、手作りの双六を親子で作ることで、ゲームそのものを一緒に考えたり、デザインしたりする楽しみもあります。​特に、子どもが自分で考えたオリジナルのマス目を作ると、遊びながら創造力も育むことができます。

まとめ

双六は、日本の伝統的なボードゲームでありながら、現代でも幅広い世代に楽しまれている奥深いゲームです。サイコロを振って進むシンプルなルールながら、戦略的要素や教育的価値を持ち、親子や友人同士で遊ぶのに最適な遊びといえます。

双六は、昔ながらの遊びとしてだけでなく、学びや交流を深めるツールとしても活用できます。ぜひ、家族や友人と一緒に、双六の楽しさを体験してみてください!

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日本の伝統工芸の魅力を世界に発信する専門家集団です。人間国宝や著名作家の作品、伝統技術の継承、最新の工芸トレンドまで、幅広い視点で日本の工芸文化を探求しています。「Kogei Japonica 工芸ジャポニカ」を通じて、伝統と革新が融合する新しい工芸の世界をご紹介し、日本の伝統文化の未来を世界とつなぐ架け橋として活動を行っています。

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