薩摩焼(さつまやき)は、鹿児島県で生まれた日本を代表する陶磁器のひとつです。繊細で上品な「白薩摩」と、素朴で力強い「黒薩摩」という2つの異なるスタイルを持ち、それぞれ異なる魅力を放っています。

この記事では、薩摩焼の特徴や歴史、白薩摩と黒薩摩の違いに加えて、長く美しく使い続けるための手入れ方法まで詳しく紹介します。工芸品コレクターや美術品としての陶器に関心のある方にとって、薩摩焼の奥深さを知る良いきっかけになるはずです。

薩摩焼とは?

薩摩焼(さつまやき)は、日本の伝統的な陶磁器の一つであり、その独特な風合いや高度な技術によって、古くから多くの人々を魅了してきました。17世紀初頭、朝鮮半島から連れてこられた陶工たちによって薩摩の地でその歴史が始まり、時代を経て独自の美意識と技法が育まれました。

現在では「白薩摩」と「黒薩摩」という2つの代表的なスタイルがあり、それぞれに異なる魅力と文化的背景を持っています。ここでは、薩摩焼の歴史的な背景から白薩摩と黒薩摩それぞれの特徴、そしてその芸術的・文化的価値について詳しく解説していきます。

鹿児島県に根付く薩摩焼の起源と歴史

薩摩焼(さつまやき)は鹿児島県を代表する伝統陶磁器で、その歴史は安土桃山時代末期にまで遡ります。文禄・慶長の役(1592~1598年)での豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、薩摩藩主・島津義弘が朝鮮から陶工たちを連れ帰ったことが薩摩焼の始まりです​。連れて来られたおよそ80名の朝鮮人陶工たちは薩摩藩内各地に窯を開き、本国の優れた技術を南九州の地に根付かせました​。

彼らは現地の粘土(薩摩の土)を用いて陶芸制作に取り組み、白い地肌が美しい大名道具の「白薩摩」や、庶民の日用品としての「黒薩摩」など見事な焼き物を生み出しました​。こうして400年以上前に始まった薩摩焼は、以後鹿児島の風土に育まれつつ陶工たちの不断の努力によって発展を遂げ、現在まで受け継がれています​。

この薩摩焼は当初より白薩摩と黒薩摩という二大系統に大別され、それぞれ用途や美意識が異なる方向に展開しました。朝鮮からもたらされた陶工の技術に島津家の保護が加わり、苗代川(現在の美山地区)・竪野・龍門司など薩摩藩内の各地に窯場が築かれて独自の作風が生まれ、複数の系統(流派)に分かれていきます​。薩摩焼で焼かれた茶陶の名品は、当代一の茶人である古田織部をはじめとする茶人や諸大名から高く評価されてもいました​。

藩主・島津義弘自身、出来の良い焼き物に自らの印を捺して焼かせたと伝えられ、そうした作品は「御判手」と呼ばれて珍重されています​。このように薩摩藩の庇護のもと陶工たちは技術を磨き、白薩摩と黒薩摩それぞれで薩摩焼ならではの美を追求していきました。

その後、幕末期になると第28代薩摩藩主・島津斉彬が薩摩焼の技術革新と生産拡大に着手し、藩内の磯別邸(現在の仙巌園)に御庭焼の窯を築くなどして西洋人好みの豪華絢爛なデザインの作品を制作させます​。斉彬の推進した新たな薩摩焼(のちに「近代薩摩焼」と称される作品群)は、慶応3年(1867年)のパリ万博に薩摩藩単独で出品され、象牙色の素地に金彩や色絵を施したその白薩摩が絶賛を博しました​。
以降「SATSUMA」の名は欧米市場で広く知られ、日本を代表する輸出工芸品として世界にその名を轟かせます​。明治期にはウィーン万博(1873年)など国際舞台でも高い評価を受け、「サツマ」は日本陶磁器の代名詞ともなりました​。現在でも薩摩焼は鹿児島県内各地の窯元で作られ続けており​、2007年にはフランス国立陶磁器美術館で薩摩焼の特別展が開催されるなど、その伝統と美は国内外で高く評価され続けています​。悠久の歴史と文化を背負った薩摩焼は、今なお鹿児島の文化的象徴として輝きを放っています。

白薩摩と黒薩摩の違いとは?

薩摩焼で作られる陶磁器は大きく「白もん」と呼ばれる白薩摩と、「黒もん」と呼ばれる黒薩摩の二系統に分けられます​。両者は見た目の色だけでなく、使われる土や技法、装飾や器形(フォルム)の面でも大きく異なり、それぞれ独特の魅力を形成しています​。

白薩摩(しろさつま)

白薩摩は、象牙色や淡いクリーム色の素地に透明な釉薬を施した上品な焼き物です。焼成後に細かな貫入(釉薬のひび模様)が生じ、そこに赤・緑・青・黄などの鮮やかな絵の具で繊細な手描きが施されます。さらに金彩で緻密な文様を加えることで、華やかな意匠に仕上げられます。

一部の作品には透かし彫りなどの高度な細工も施されており、その制作には高度な技術と多くの手間が必要とされました。白薩摩に使われる白土は、シラス台地の火山灰土で、薩摩領内の限られた地域のみで採れる希少な素材です。江戸初期にこの白土が発見されたことで白薩摩が生まれたとされています。

薩摩藩は当初、朝鮮の白磁に匹敵する美しい陶磁器を目指しましたが、国内では白磁に適した陶石が見つからず、代わりに白土を使った陶器を島津家に献上しました。これが非常に喜ばれ、「薩摩焼」と名付けられたと伝えられています。

こうして誕生した白薩摩は、藩の御用品や贈答品とされ、特に優れたものは「献上薩摩」として藩主や他藩の大名に贈られました。武家社会で重宝された白薩摩は、明治期には美術工芸品として欧米に輸出され、その豪華さで世界のコレクターを魅了しています。

黒薩摩(くろさつま)

黒薩摩は白薩摩よりも古い伝統を持ち、主に茶碗や酒器などの実用品として作られてきた焼き物です。名前の通り、漆黒や黒褐色の落ち着いた地肌が特徴で、鉄分を多く含む地元の粘土を使い、黒い釉薬一色で仕上げられます。装飾は控えめながら、重厚な風合いが力強い美しさを生み出します。

白薩摩のような華麗な色絵や金彩はありませんが、素朴で温かみのある意匠が日常生活に溶け込み、長く庶民に親しまれてきました。歴史的にも、一般庶民が使えたのはこの黒薩摩のみで、白薩摩は特別な存在でした。

黒薩摩は耐久性にも優れ、焼酎を酌む酒器などに多く使われてきた実用的な器です。このように、原料や製法の違いによって白薩摩と黒薩摩は対照的な特徴を持ち、薩摩焼の多様な魅力を感じることができます。

薩摩焼の特徴と魅力

薩摩焼は、日本の伝統的な陶磁器として国内外で高い評価を受けており、その深い歴史と個性的な美しさが多くの人々を惹きつけています。起源は16世紀にさかのぼり、時代を超えて地域独自の製法や意匠が現代まで受け継がれてきました。

薩摩焼には「白薩摩」と「黒薩摩」の2つの代表的なスタイルがあり、前者は乳白色の素地に繊細な絵付けが施された優美な風合いで観賞用として親しまれ、後者は力強く重厚な造形で、実用性にも優れた日常使いの器として重宝されています。

ここからは、薩摩焼の歴史を振り返りつつ、白薩摩・黒薩摩それぞれの特徴や魅力、そしてその独特の製法に込められた職人の技と精神を詳しくご紹介していきます。

白薩摩に見られる透かし彫り・金彩の繊細さ

白薩摩は、象牙色の滑らかな素地に透明釉をかけ、焼成後に細かな貫入(釉薬のひび模様)が現れます。その上に鮮やかな絵付けと本金による金彩が施され、華やかで気品ある仕上がりになります。

例えば、白薩摩の代表的な作品の一つでもある花瓶には、クリーム色の地に赤や緑の彩色と金彩で草花模様が精緻に描かれ、非常に華やかな印象を与えます。もともと白薩摩は薩摩藩主の御用窯から発展したもので、使用される白土は薩摩藩内の限られた地域で採れる貴重な素材です。


また、白薩摩における特筆すべき技法に、「透かし彫り(透彫)」があります。これは器の表面を部分的に薄く彫り抜いて網目状の模様を作る技術で、まるで竹籠のような繊細な装飾が全体に施されます。この技法は明治12年(1879年)頃、第十二代沈壽官によって考案され、独自の技として完成されました。

金彩の技術も非常に高度で、職人たちは筆で極細の線や点を描き、純金の輝きを活かした豪華な装飾を完成させました。透かし彫りの透光性と、金彩・絵付けの絢爛さが調和し、素地の優美さを際立たせています。

その繊細で華麗な作風により、白薩摩は明治以降、欧米のコレクターに愛され、現在でも美術館や博物館で高く評価される陶芸作品として世界的な評価を受け続けています。

黒薩摩の力強さと民芸的な風合い

黒薩摩は白薩摩と対照的に、質素で素朴な美しさを備えた焼き物です。特に焼酎用土瓶「黒ぢょか」は黒薩摩の典型例で、厚手の陶器が直火に耐えるよう実用本位で作られており、昔から囲炉裏やコンロで焼酎を温めるために使われてきました。

黒薩摩は主に日常雑器として庶民に愛され、重厚で安定感のある造形と、黒一色の落ち着いた光沢の中に、土の温もりが感じられます。使用される陶土は鉄分を多く含む黒褐色の土で、薩摩藩内で豊富に産出されたため、量産が可能でした。

この鉄分豊かな土から生まれる素地は茶褐色を帯び、透明釉や鉄釉をかけて焼成すると、深い黒や飴色の光沢が生まれます。黒薩摩では絵付けなどの装飾は施さず、釉薬そのものの質感と色味で美を表現します。特に厚手の器に黒釉をたっぷりかけることで生まれる漆黒の中に、釉の薄い縁や高台には赤みを帯びたグラデーションが現れます。

この赤味がかった縁の色合いは、鉄釉と薩摩の土が生む独特の景色として愛好家に親しまれています。飾り気のない中にも、深い味わいを感じさせるのが黒薩摩の魅力です。

もともと黒薩摩は壺や甕、すり鉢、碗皿、徳利、杯など、庶民の日用品として多種多様な器が作られてきました。装飾を抑えたその美しさは「用の美」を体現しており、使い込むほどに風合いが増します。

大正時代には柳宗悦らによる民芸運動の中で、この素朴さと力強さが再評価され、民衆の工芸として脚光を浴びました。黒薩摩の土味ある質感と実直な造形は、日常の中に美を見出す好例として、今日でも高く評価されています。

現代においても黒薩摩は薩摩焼の重要な一翼を担い、茶器・酒器・花器など、暮らしの中で使える工芸品として親しまれています。特に黒ぢょかは、使い込むほどに焼酎の風味が染み込み、味わいが増すとして今なお多くの人に愛されています。

用の美と装飾性を兼ね備えた造形美

薩摩焼は、日本の伝統的な陶芸品で、その独特の美しさと機能性で知られています。薩摩焼の最大の特徴は「用の美」と「装飾性」を兼ね備えた造形美です。実用性を重視したシンプルでありながら洗練されたデザインに加え、豪華な装飾が施されていることが魅力の一つと言えます。

特に薩摩焼には、日常使いの器から芸術品まで幅広く存在するため、その多様性が持つ美しさが現代でも多くの人々に愛されている理由でしょう。

代表的な薩摩焼の技法と作陶工程


薩摩焼は、日本の伝統文化の中でも芸術性と実用性を兼ね備えた奥深い分野であり、長い年月をかけて多様な技法や作陶工程が発展してきました。中でも、使用する技法や工程の選択は、作品の完成度や表現力に大きな影響を与える重要な要素です。

陶芸における代表的な技法には、ろくろ引き、手びねり、型押しなどがあり、それぞれが異なる質感や造形美を生み出します。また、土の選定から成形、乾燥、釉薬掛け、焼成に至るまでの一連の作陶プロセスにも、職人のこだわりと熟練の技が随所に表れています。

ここからは、これらの多様な技法と作陶の流れについて詳しく見ていき、どのようにして土が芸術的な器へと昇華されるのかを解説していきます。

白薩摩における貫入と上絵付けの工程

白薩摩は、独特の貫入と上絵付けが特徴的です。貫入とは、釉薬が冷える過程で自然に発生する細かなひび模様で、作品に独特の風合いと深みを与えます。この技法では、まず土を成形し素焼きを行い、その後特別な釉薬を施します。本焼成時には釉薬が冷却収縮し、貫入が生じます。特に白薩摩では、釉薬を薄く仕上げるために水にくぐらせる工程があり、この操作によって繊細な貫入模様が形成されます。

上絵付けは、本焼きを終えた後に行われます。金や赤などの華やかな色彩を用いて繊細な模様や絵を描き、再び焼成することで絵具を定着させます。例えば、沈壽官窯では金彩の下に他の絵具を使用せず、純粋に金のみで装飾するため、その輝きが長く保たれる点も特徴です。これらの工程には高度な技術と経験が求められ、白薩摩ならではの気品ある美しさを引き立てています。

黒薩摩の登り窯焼成と釉薬の魅力

黒薩摩焼は、その特徴的な色調と質感で知られる日本の伝統的な陶器です。登り窯焼成は黒薩摩の製作工程において重要な役割を果たします。この窯は段階的に温度が上昇する構造を持ち、高温で均一に熱が伝わることで黒薩摩特有の深い黒色と光沢が生まれます。

釉薬には鉄分が多く含まれており、焼成時に酸化還元反応によって独特の黒色や褐色が形成されます。この自然な釉薬の変化は、一つ一つの作品に個性を与えるだけでなく、手作りならではの温かみを感じさせます。また、黒薩摩では機能性も重視されており、美観と実用性を兼ね備えた点もその魅力です。

現代作家による新しい技法と挑戦

現代の陶芸作家たちは、伝統的な技法を基盤としつつ、新しい挑戦を続けています。ろくろ成形や手びねりといった基本技術に加え、新たな釉薬の開発や異素材との組み合わせも試みられており、従来の枠組みに捉われない作品が増えています。

これらの取り組みは伝統文化への敬意を保ちながらも、陶芸表現の幅を広げ、市場やアート界でその可能性を再定義しています。

薩摩焼の主な作品と用途

薩摩焼は、古くから日本の伝統工芸品として親しまれてきた陶器であり、その起源は16世紀末、薩摩藩において朝鮮半島から渡来した陶工たちによって築かれました。以来、長い年月をかけて独自の風合いと技法が磨かれ、現在もなお多くの人々を魅了し続けています。

特に、繊細な絵付けや温かみのある色調は、観賞用としての美しさはもちろん、実用性を兼ね備えた器としても高く評価されています。薩摩焼には、茶器や花器、食器など、日常から特別な場面まで幅広く活用できる多彩な作品が揃っており、それぞれに込められた職人の技と想いが感じられます。

ここからは、代表的な薩摩焼の作品や、その使われ方について詳しく見ていきながら、暮らしの中に息づくその芸術的価値と魅力を再発見していきましょう。

茶道具・酒器・花器など伝統的な器

薩摩焼の茶道具はその重要な例であり、茶碗や抹茶碗が知られています。これらは茶道の儀式に用いられ、美術的価値も高いです。

酒器としては、徳利や盃が作られ、酒をより楽しむための工夫が凝らされています。さらに、花器は生け花を引き立てるための存在として、大小さまざまな形状で作られます。これらの器は、薩摩焼特有の白薩摩や黒薩摩の美しい釉薬が施され、日常の実用性と高級品としての役割を両立させています。伝統と技術が融合した薩摩焼は、長い歴史を背景に現代でも多くの人々に愛されています。

インテリアやオブジェとしての芸術性

現代においてはインテリアやオブジェとしても高い評価を受けています。その芸術性は、繊細な浮彫りや多彩な色彩、そして独特の釉薬技法により表現され、インテリア空間に豊かな表情を加えます。

特にアンティークの薩摩焼は、オークションなどで高値で取引されることが多く、コレクションとしての価値も高まっています。現代のクリエイターたちは、伝統を守りつつ新しい表現を試みることで、インテリアアイテムとしての薩摩焼の可能性をさらに広げています。

贈答品・コレクションとしての人気と価値

薩摩焼は、伝統的な陶磁器でありながら、その独特の美しさと精緻な装飾から贈答品として非常に人気があります。特に金襴手と呼ばれる豪華なデザインは、見る者を魅了し贈り物としての格を高めます。

これらの作品は、単なる道具としての価値を超え、美術品としても高い評価を受けています。さらに、保存状態や製作者が明らかな作品は、コレクターにとっても大変貴重です。

時代を超えて受け継がれる薩摩焼の魅力は、歴史的背景とともにその美しさや技術の高さに由来し、個人のコレクションにおいても、その価値は増すばかりです。

薩摩焼の手入れと長く楽しむためのポイント

薩摩焼は、その繊細な美しさと深い歴史により、日本の陶磁器の中でも特に愛されている工芸品です。しかし、その美しさを長く保ち楽しむためには、適切な手入れと管理が不可欠です。

ここでは、薩摩焼の特性を理解し、その特徴を最大限に活かすための手入れ方法をご紹介します。具体的には、日常的な取り扱いから、汚れやダメージを未然に防ぐためのコツ、さらには保存環境に配慮した長期間のメンテナンス方法まで紹介します。

使う前後の注意点と正しい洗い方

薩摩焼は、その繊細な美しさと温かみのある風合いで知られる陶器ですが、その魅力を長く保つためには、日々の丁寧なお手入れが欠かせません。自然素材ならではの性質を持つため、扱い方次第で寿命や風合いが大きく変わることもあります。

使用前には、ぬるま湯に浸して目に見えない汚れを取り除くことで、陶器本来の質感を守りつつ、食材の風味を損なわないようにすることが大切です。使用後は急激な温度変化を避け、自然に冷ましてから中性洗剤と柔らかいスポンジで優しく洗いましょう。

また、食洗機や金属製たわし、乾燥機の使用は避け、自然乾燥を心がけることで、薩摩焼の美しい色合いや手触りを長く楽しむことができます。

割れ・貫入への理解と対処法

薩摩焼は、美しい光沢と伝統的なデザインで愛される陶器ですが、割れや貫入(ひび状の模様)が発生することがあります。これらは、陶器の特性や使用環境により生じるものであり、必ずしも品質の欠陥ではありません。

まず、貫入は釉薬が冷却時に縮む際に現れるもので、薩摩焼の特徴とも言えます。ただし、水が染み込む可能性があるため、使用前に内側を軽く温め、乾燥させることで、水を吸いにくくする効果があります。

割れが見つかった場合は、成分が食品に影響を与えないよう、使用を避けつつ、状態によっては専門店での修理を依頼するのも良いでしょう。定期的に柔らかい布で優しく拭くことで、美しい状態を長く保てます。こうした対処を心掛けることで、薩摩焼を長年にわたり楽しむことが可能です。

飾る・収納する際のポイント

薩摩焼を長く楽しむためには、飾り方と収納方法に気を配ることが重要です。まず、飾る際は直射日光を避け、温度や湿度の急激な変化がない安定した環境で展示することを心がけましょう。日光により色褪せが起こることがありますので、間接光が当たる場所や紫外線フィルターを用いると良いでしょう。

収納する際は、衝撃を避けるために個別に柔らかな布で包み、取り出しやすい場所に保管すると安全です。また、湿気が多い場所は避け、防湿剤を適宜使用することで、カビやひび割れを防ぎましょう。これらのポイントを意識することで、薩摩焼の美しさを長く楽しむことができます。

まとめ

薩摩焼は、日本の伝統的な陶磁器で、特に鹿児島県で製作されることで知られています。特徴は繊細な絵付けと豊かな色合いで、特に白薩摩と呼ばれる作品は高級感があります。魅力の一つに、美しい光沢と精緻なディテールがあります。

薩摩焼の作陶工程は、まず粘土を成形し、素焼き後に絵付けを行い、本焼きするという流れです。この繊細な工程により、独特の美しさが生まれます。作品は主に食器や茶器として使われ、装飾品としても人気があります。

薩摩焼を鑑賞したり体験できる施設も多く、鹿児島県内の陶芸体験教室や美術館がオススメです。手入れは、優しく洗い、急激な温度変化を避けると長持ちします。大切に扱うことで、薩摩焼は長くその美しさを楽しむことができるでしょう。

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日本の伝統工芸の魅力を世界に発信する専門家集団です。人間国宝や著名作家の作品、伝統技術の継承、最新の工芸トレンドまで、幅広い視点で日本の工芸文化を探求しています。「Kogei Japonica 工芸ジャポニカ」を通じて、伝統と革新が融合する新しい工芸の世界をご紹介し、日本の伝統文化の未来を世界とつなぐ架け橋として活動を行っています。

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